代表メッセージ

私たちは、子どもたちの感性を育む場があれば、自ら遊び、学び、成長していくと考えています。こんなところで遊びたかった・学びたかった、さまざまな子どもたちの想いを建築や空間に生かし、子どもに真摯に向き合ってつくることを大事にしています。

子どもたちが自らの五感を通して空間を感じとり、自然に生き活き過ごすことができる。そのためには、子どもたち目線で、天井の高さや床の高さ、園庭のレイアウトを考える。子どもたちの創造的な活動を引き出す空間づくりは、子どもたちの「遊びが自然な流れで生まれる」場づくりでもあります。

子どもたちが過ごす園舎は、屋内・屋外のみならず、大人が「管理しやすい」場とするだけでなく、子どもたち自らが「遊びたくなる」場であることが大切です。場づくりは最初から完璧にうまくいくわけではなく、先ずは一歩踏みだして計画し、調整をしながら少しずつバージョンアップをしていく。子ども自身も日々成長し、集団の中でも状況に応じて変化してゆくため、物事を固定的にとらえるのではなく、柔軟に変化に対応できる場であることが求められます。

風が草木を揺らす景色・音色、土・泥をさわった感触、子どもたちは空間を論理ではなく「感覚」で把握します。子どもたち自らの手で、遊び場をつくり変えていく。自由な発想で遊びがつくられ、空間がつくられていく。そんな、子ども自身が「やってみたい!」となる「場」こそが、感性を育む場となるのです。

子どもの空間において、安全の配慮は重要です。しかしすべての危険・事故を防止するような、いわば行き過ぎた環境は、子ども自らが危険を察して自分の身を守る術(すべ)を、子どもから奪ってしまっているようなもの、大人が子どもたちから危険を遠ざけることだけが配慮ではなく、子どもたちが自分を守る力を、さまざまな体験を通じて身につけていく、寄り添って育てる「未来への配慮」が最も必要なことと考えます。

子どもたちは人との関わりの中で 喜び・悲しみ・楽しさ・辛さの多くの体験から、個性豊かな感情が生まれ、感性を育んでいきます。日々子どもたちから学び続け、感覚的な体験を大事に設計に生かしていきます。

私たちは設計活動を通して、子どもたち、障がいのある方、そして、その人たちを支える方たちとの出会いから、多くのことを学びました。親御さまをはじめ、支える方々の優しく強く、深い愛を感じてきました。そうした経験から、仕事は人に喜ばれること、関わる人を幸せにすること。仕事とは自分を誇示する手段ではなく、自分と相手に対するギフトであり、それが結果としてお互いを満たすものだと考えています。

設計という仕事は、日常的な小さな配慮、献身、小さな差異、小さな信頼を積み重ねることです。ひとつだけ取り上げれば取るに足らないと思えるような、小さな差異の創造が私たちの設計スタンスです。そして仕事の本質は、モノを形づくることより、むしろ提案することにあります。「何をつくるか」を提示し、現実化に向けたリーダーシップをとること、そしてお客様の想い(夢)を かたち にしていくことが、仕事の真髄です。